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開港できなかった七尾港

昭和30年代の七尾港(写真中央部の寿町が埋め立て中であることが分かる)

安政5年(1858)の日米修好通商条約で、貿易を前提とした開港場として、全国で箱館・横浜・新潟・神戸・長崎の5港が決められました。

しかし、英国は、日本海側の新潟は大型船の通行に不向きなので、代わりに能登、越中、加賀では唯一の良港である七尾港の開港を要求。慶応3年(1867)に七尾に入港しました。

開港を迫ったのは、令和3年のNHK大河ドラマ「青天を衝け」に登場した、駐日英国公使のハリー・パークスです。パークスは、幕末に活躍した将軍の徳川慶喜や長州の伊藤博文、薩摩の西郷隆盛など、各地の有力者と会談している人物です。

交渉した加賀藩の重役は、七尾が開港されれば、幕府の直轄地になったり、物価の上昇、領民の反対運動がおこったりするなどの理由で応じようとしませんでした。

その結果、英国は開港をあきらめました。

もし、七尾が開港をしていれば、製鉄所や造船所の産業集積による経済発展や国際貿易港として、神戸や横浜のようにグローバルな都市に発展していたかもしれません。

なお、ハリー・パークスに同行した英国外交官のアーネスト・サトウが当時のことを記録した日記が出版されています。もちろん七尾を訪問したことも書かれています。

出典「一外交官の見た明治維新」岩波文庫

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